漢方と西洋薬の違いとは?どっちがいい?飲み合わせに注意?
体の不調や疾患を改善するために服用する薬には、大きく分けて漢方薬と西洋薬の2種類があります。
これらはドラッグストアでも手軽に入手できますが、それぞれどういった違いがあるのでしょうか。
注意しておきたい禁忌の飲み合わせや薬の選び方なども解説します。
漢方薬と西洋薬の違い
漢方と西洋薬を一言で表すとすれば、漢方は漢方医学に沿って処方される薬であり、西洋薬は西洋医学に沿って処方される薬です。
漢方医学とは、中国や朝鮮半島を中心としたアジア圏で発展した東洋医学をベースに、日本で発展した独自の伝統医学であるのに対し、西洋医学はヨーロッパを中心に発展した医学です。
漢方医学では、症状はもちろんのこと、患者一人ひとりの体質や体のバランス、気の流れなどを診察し、生薬とよばれる天然由来の成分を調合し個別の処方を行います。
これにより、私たち人間が本来もっている自然治癒力を引き出し、症状の緩和や疾患の改善につなげることができます。
一方、西洋医学では科学的根拠をベースとしており、血液検査や画像診断などを行い疾患の状態や原因を突き止め、症状を緩和・改善するための薬剤が処方されます。
漢方医学のように患者の自然治癒力を引き出すというよりは、病気の原因や症状が起こっている器官に直接アプローチし、ピンポイントで治すという考え方です。
漢方薬と西洋薬はどっちがいい?
薬を選ぶにあたって、漢方と西洋薬にはそれぞれメリット・デメリットがあり、一概にどちらが良い・悪いと判断できるものではありません。
たとえば、漢方薬は自然由来の成分である生薬をブレンドしているため西洋薬に比べて副作用が少ないというメリットがありますが、薬の効き方が緩やかで、即効性が期待できない薬が多いという点がデメリットでもあります。
一方、西洋薬の場合は科学的根拠に基づいて研究開発され、特定の疾患や症状に対して即効性が見込める薬が多いというメリットがあります。
ただし、漢方薬に比べると副作用のリスクが高く、体質によっては重篤な症状を引き起こす危険も秘めています。
以上の違いから、薬を選ぶ際には漢方薬と西洋薬それぞれの違いを正確に理解したうえで、用途に合わせて選択することが大切です。
漢方薬と西洋薬はどう選ぶ?
では、漢方薬と西洋薬はどのような基準・ポイントをもとに選べば良いのでしょうか。それぞれの薬が向いているケースをご紹介しましょう。
漢方薬が選択されるケース
漢方薬がおすすめなのは主に以下のようなケースです。
検査では異常がないものの体調が悪いとき
病気や疾患はさまざまな要因が複雑に関連して発症することが多いものです。
病院で血液検査や画像検査などを受け、その結果異常が見られなかったにもかかわらず、自覚症状があるというケースもあります。
そのような場合には漢方薬が適しています。体質や体のバランスを整えることで、検査では分からなかった根本原因に働きかけることができます。
慢性的な体の不調を抱えているとき
長期間にわたって続く疲労感や睡眠障害、下痢や便秘など、慢性的な体の不調は多いものです。
このような場合も、生活習慣の見直しとあわせて漢方薬を飲み続けることにより、体質改善や体のバランスが調整され慢性的な不調を改善できる可能性があります。
薬の副作用をできるだけ抑えたいとき
西洋薬の副作用が心配される場合や、副作用のリスクを最小限に抑えたい場合には、漢方薬が適しています。
漢方薬は一般的に副作用が少ないとされており、自然由来の成分を使用するため長期間服用し続けても副作用のリスクを抑えられる可能性があります。
西洋薬が選択されるケース
西洋薬がおすすめなのは主に以下のようなケースです。
緊急性の高い治療が求められるとき
命の危険に晒されている緊急性の高い状況や急性の症状が現れたとき、あるいは激しい痛みによって苦痛を伴う場合には、即効性が見込める西洋薬が適しています。
例えば、心臓発作や重度のアレルギー反応などの治療においては西洋薬による治療が不可欠です。
疾患の原因が明確なとき
疾患の原因を把握できており、特定の薬剤が効果的な治療法として確立されている場合には西洋薬が適しています。
例えば、抗生物質による細菌感染症の治療や、抗ウイルス薬によるウイルス感染症の治療などが代表的です。
重度の感染症を治療しなければならないとき
命を脅かすような重度の感染症は、感染が拡大した場合に備えて治療法を標準化しておかなければなりません。
抗生物質や抗ウイルス薬などの西洋薬は、感染症の原因菌やウイルスに対して即効性が見込め、最適な治療法といえます。
重篤な状況下では即座に症状を軽減し、病気の進行を抑えるためにも西洋薬が必要です。
漢方薬と西洋薬の飲み合わせについて
薬の効果を最大限まで高めるために、漢方薬と西洋薬を一緒に服用してみたいと考える方もいるかもしれません。
しかし、薬の飲み合わせについては注意が必要です。
飲み合わせの禁忌に注意する
漢方薬は自然由来の生薬のため西洋薬に比べると安全性は高いですが、薬の組み合わせによっては作用が強く出過ぎたり、互いに打ち消しあったりするケースもあります。
たとえば、「甘草(カンゾウ)」が含まれる漢方薬と、利尿作用を促進する西洋薬を一緒に服用すると、血清カリウム値が低下し血圧上昇などの作用をもたらす危険があるため注意が必要です。
お薬手帳で管理
漢方薬や西洋薬の服用履歴を記録するためにおすすめなのが「お薬手帳」です。
これまで処方された薬や服用方法、現れた副作用などを詳細に記録しておくことで、危険な飲み合わせを防ぐことができます。
体質や体調に合わせた漢方薬を選ぶ
漢方薬はドラッグストアなどでも手軽に購入できますが、体質や症状に合わせて選ぶことが重要です。
薬剤師に症状を伝え、相談に乗ってもらいながら適切な漢方薬を処方してもらいましょう。
用法・用量の厳守
漢方薬、西洋薬を問わず、薬は用法・用量を厳密に守ることが重要です。
薬のパッケージや説明書に記載された内容をしっかりと守り、過剰摂取や誤った服用方法は絶対に避けましょう。
また、用法・用量だけでなく注意事項や副作用の項目も読み、想定されるリスクを正確に理解しておくことが大切です。
医師や薬剤師と相談
漢方薬と西洋薬を同時に服用する場合は、必ず医師や薬剤師へ相談してください。
専門家のアドバイスを受けることで、安全な服用方法や適切な薬の組み合わせを確認することができます。
【まとめ】漢方薬と西洋薬の違いを理解して正しい選択を
薬には漢方薬と西洋薬があり、効果が現れるタイミングや副作用などに違いがあります。
それぞれにメリット・デメリットがあり、一概にどちらが良いと断定できるものではないため、その人の症状や病気の進行状態などに応じて使い分けることが大切です。
一般的に漢方薬は副作用のリスクが低く、西洋薬に比べると安全性が高いとされていますが、飲み合わせによっては重篤な症状を引き起こすケースもあります。
安全に薬を服用するためにも、薬剤師に相談しながら自分に最適な薬を選択してください。