薬の飲み過ぎの危険性とは?症状や対処法について解説
薬は体の不調を改善するために欠かせないものです。
しかし、用法や用量を守らず多量の薬を服用したり、一度に複数の薬を摂りすぎてしまうと体に異変をもたらすこともあります。
薬に含まれる成分によっても症状は異なりますが、どういった影響が現れるのか、主な症状をご紹介します。
また、万が一薬を飲み過ぎた場合の対処法や、薬の効果が現れない場合の対策も解説しましょう。
薬の飲み過ぎが体に与える影響
薬の飲み過ぎによってどういった影響が考えられるのか、6つのリスクをご紹介しましょう。
多剤服用による副作用の増加
どのような薬であっても、体の不調を改善する効果ばかりではなく、副作用も現れることがあります。
たとえば、眠気や吐き気、発疹、下痢・便秘などは代表的な副作用ですが、薬の種類が増えるほどさまざまな副作用にも悩まされることになります。
薬物乱用頭痛
薬物乱用頭痛とは、その名の通り薬の飲み過ぎによって現れる頭痛のことです。
特に、鎮痛剤や頭痛薬などを飲みすぎた際に現れることが多いです。
服用直後は一時的に痛みが緩和されたとしても、その後時間が経過すると激しい頭痛に襲われることがあります。
肝臓や腎臓への負担増加
肝臓や腎臓は、薬物の代謝と排泄を担う重要な器官です。
薬の種類が多すぎたり、一度に多量の薬を服用しすぎたりすると、体内で代謝できる許容量を超えてしまい、内臓に大きな負担がかかってしまうのです。
その結果、体内に薬が蓄積されたままになり副作用が強く現れたり、内臓の機能低下や障害を引き起こす可能性もあります。
心臓への影響
薬の飲み過ぎは心臓への負担も増大させ、不整脈や心臓発作などの心臓疾患のリスクを高める可能性があります。
依存症のリスク
薬物依存症と聞くと、覚醒剤などの違法薬物をイメージする方も多いと思います。
しかし、実際には病院で処方される薬や市販薬なども、飲み過ぎによって依存症を引き起こす危険があります。
特に、鎮痛剤や精神安定剤などの中枢神経を抑制する薬物は、依存性が高いとされています。
栄養吸収の阻害
薬の飲み過ぎは、栄養吸収を阻害する要因になることもあります。
食事から摂取した栄養素は、胃や腸といった消化器官を通るなかで吸収されます。
ところが、薬を飲み過ぎてしまうと消化器官の粘膜を過剰に刺激し、消化酵素の働きを弱めることがあります。
その結果、栄養の吸収率が低下するリスクが考えられるのです。
薬の飲み過ぎによる主な症状
薬を飲み過ぎることで、どういった症状が現れることが多いのでしょうか。
頭痛
上記で薬物乱用頭痛として紹介したように、鎮痛剤や頭痛薬を飲みすぎると痛みに対する耐性が弱まり、薬の効果が切れたときに痛みを感じやすくなるといわれています。
また、片頭痛や緊張性頭痛を患っている方が鎮痛剤を長期的に服用し続けると、頭痛がさらに悪化するというケースも多いです。
吐き気・嘔吐
薬を飲みすぎると胃や腸といった消化器官に過度な刺激を与え、消化機能を低下させるリスクがあります。
その結果、食事の後に体内で消化しきれなかったものを嘔吐したり、吐き気を引き起こしたりすることも少なくありません。
腹痛・胃痛
吐き気・嘔吐と同様に、消化器官の粘膜に過度な刺激を受けることで腹痛や胃痛を引き起こすケースもあります。
下痢・便秘
薬を飲みすぎると腸の粘膜へ過剰に作用し、下痢を引き起こすことがあります。
また、便秘薬の一種である刺激性下剤を長期間にわたって服用し続けると、便を押し出す力が弱まり慢性的な便秘につながることも少なくありません。
めまい・ふらつき
抗うつ薬や鎮痛薬などは中枢神経系に作用するため、薬を飲みすぎるとめまいやふらつきが生じることもあります。
最悪の場合、意識障害やせん妄といった重篤な状態に陥る危険もあるため注意が必要です。
睡眠障害
ストレスなどによる不眠には睡眠導入剤が効果的ですが、飲み過ぎや長期間にわたって服用し続けると耐性ができ、睡眠障害を引き起こすケースもあります。
薬がないと眠れなくなったり、夜中に何度も起きてしまうなど、睡眠の質も大幅に低下する可能性があるでしょう。
発疹・かゆみ
薬に含まれる成分には、人によってアレルギー反応を引き起こしたり、副作用によって皮膚に発疹やかゆみを引き起こしたりするものもあります。
正しい用量を守っていれば問題はなくても、飲み過ぎることでこれらの症状が起こる可能性もあります。
心拍数の変化
一部の薬は心臓の働きに影響を与え、心拍数の変動を引き起こすことがあります。
薬を飲みすぎると心臓に大きな負担がかかり、不整脈や呼吸不全、心臓発作などにつながるリスクもあるでしょう。
血圧の変動
高血圧の治療に用いられる薬を飲み過ぎると、急激に血圧が低下することがあります。
これによって立ちくらみや頭痛、吐き気などが生じ、転倒によってケガにつながる危険もあるでしょう
。
疲労感・倦怠感
なんとなく体がだるい、十分な睡眠をとっているはずなのに疲労感が抜けないという症状も、薬の飲み過ぎによって現れることが多くあります。
薬を飲み過ぎたときの対処法
不注意や勘違いで薬を飲み過ぎてしまった場合、健康被害を最小限に抑えるためにはどういった対処が求められるのでしょうか。
医師や薬剤師に相談する
薬を飲み過ぎたときには、できるだけ早めに医師や薬剤師に相談しましょう。
適切な処置を行うためにも、以下の情報は正確に伝えることが大切です。
- 薬の名称
- いつ飲んだか
- 飲んだ量
- 現在の症状
薬の種類や量、現在の症状によっては、胃の中を洗浄する処置が行われることもあります。
薬のパッケージや添付文書をとっておく
薬の名称を伝えただけでは、どのような成分が含まれているのか調べるのに時間を要する場合もあります。
そこで、薬を飲む際には必ずパッケージや説明書などは捨てずに取っておくことも大切です。
医師に渡すだけで正確な情報が伝えられ、迅速かつ正確な処置につながります。
症状が重い場合は救急車を呼ぶ
薬の飲み過ぎによって現れる症状は人によっても異なり、軽度の場合には自力で病院に行くこともできるでしょう。
しかし、自力で立っているのも苦しかったり、意識が遠くなるような感覚に襲われたときには、躊躇せずに救急車を呼びましょう。
服用記録をつけておく
いつ、どの薬をどのくらいの量を服用したのか、メモなどに記録しておくこともおすすめです。
飲み過ぎた薬の摂取状況を記録しておくことで、医師や薬剤師に正確な情報を提供できます。
また、今後同じような事態を防ぐためにも役立ちます。
安静にする
軽度な症状の場合や病院で処置を受けた後には、体を安静にして休めることが大切です。
十分な水分補給や栄養を摂り、体が回復するのを待ちましょう。
薬の効果が感じられないときの対策
市販薬や病院で処方された薬を飲んでも、効果が実感できないケースもあるでしょう。
そのような場合には、別の薬に切り替えたり薬の量を増やしたりすることで、改善が見込める可能性があります。
ただし、これまでも紹介したように薬の飲み過ぎは体へ悪影響を及ぼすリスクが大きいため、市販薬の場合は薬剤師へ、処方薬は医師へ相談することが大切です。
【まとめ】薬の飲み過ぎには注意
体の不調を改善するために薬は欠かせないものですが、必ずしも大量に飲めば高い効果が見込めるというものではありません。
むしろ、薬の飲み過ぎは強い副作用を引き起こし、最悪の場合命の危険に晒されるリスクもあるでしょう。
薬を飲んでも効果が感じられない場合には、自分の判断で量を増やすのではなく、必ず薬剤師や医師に相談することが大切です。
万が一、薬を誤って飲み過ぎた場合には医師や薬剤師へ相談し、症状が重い場合には躊躇せず救急車を呼んでください。