薬の副作用が起こるのはなぜ?副作用が出やすいのはどんな人?
薬を飲んだときに眠くなったり、めまいや吐き気といった症状が起こった経験はないでしょうか。
これらは副作用の代表的な症状であり、処方薬はもちろんのこと市販薬でも起こり得ます。
なぜ薬の副作用は起こるのか、簡単なメカニズムを解説するとともに、副作用が起こりやすい人の特徴やリスクを軽減するポイントなどもご紹介します。
薬の副作用が起こるメカニズム
優れた効果・作用が期待できる薬であっても、副作用のリスクがない薬は存在しないといわれています。
そもそも、薬の副作用はどのような仕組み・メカニズムによって引き起こるのでしょうか。
個人の体質
同じ薬であったとしても、薬が効く人とそうでない人がいるように、副作用についても個人の体質によって強く現れる人とそうでない人がいます。
年齢や性別、人種、遺伝的な要因、生活習慣などによって左右されることが多いです。
また、食物アレルギーのように特定の物質に対して過敏に反応する体質の方も副作用として現れることがあります。
薬の相互作用
現在服用している他の薬やサプリメント、食品などとの相互作用によって、薬の効果が変化し副作用が引き起こされることがあります。
特に、複数の薬を同時に服用している場合には相互作用による副作用のリスクが高まりやすい傾向が見られます。
病気の影響
何らかの疾患にかかり身体機能の一部が低下している場合、健常者と比べて薬の代謝や効果の出方が変化し副作用となって現れることがあります。
特に肝臓や腎臓は薬の代謝と排泄を助ける臓器であり、これらの機能が低下していると本来とは異なる作用をもたらすことが少なくありません。
薬の副作用と薬害の違い
薬の服用によって本来の作用とは異なる症状が現れるという意味では「薬害」という言葉も存在します。
両者はどういった違いがあるのでしょうか。
副作用とは
副作用とは一言でいえば「主作用以外に現れる効果や症状」と表現できます。
主作用とは、薬のパッケージや説明書などに記載されている効果・効能のことです。
たとえば風邪薬の場合「喉の痛み・鼻水・鼻詰まりの緩和」などが挙げられます。
一方、薬の説明書には必ず「副作用」や「使用上の注意」などの欄があります。
その中には「発疹・かゆみ・吐き気・めまい・ほてり」など副作用として現れる具体的な症状が記載されています。
これらはいずれも、製薬メーカーが薬を研究開発するなかで得た知見であり、薬を購入するユーザーに対しても注意喚起されています。
薬害とは
薬害とは、「製薬メーカーや医療機関などが薬の有害性やリスクを軽視または無視した結果、社会全体に健康被害をもたらすこと」と表現できます。
副作用は薬のリスクが消費者に周知され、安全性に十分配慮されています。
それに対し、薬害は故意・過失にかかわらずそれらの情報が周知されないという決定的な違いがあります。
薬害は社会的に大きな問題に発展しやすく、人的要因によって引き起こされる側面の大きい健康被害ともえいるのです。
薬の副作用が起こりやすいのはどんな人?
薬の副作用は体質によって起こりやすい人とそうでない人がいるとご紹介しました。では、副作用が起こりやすいのは具体的にどういった人なのでしょうか。
アレルギー体質の人
食物や薬に含まれる成分などにアレルギー反応が現れやすい人は、蕁麻疹や吐き気などの副作用が起こりやすい傾向が見られます。
自分自身では気付いていなくても、家族にアレルギー体質の人がいる場合には遺伝によってそれを引き継いでいる可能性もあるため注意が必要です。
高齢者
年齢を重ねると体のさまざまな組織の機能が低下し、副作用が起こりやすくなることもあります。
特に肝臓や腎臓に異常がある方や、これらが弱っている方は薬の代謝や排泄がうまくいかず、吐き気や眠気、めまいなどの副作用が強く現れるケースも少なくありません。
複数の薬を飲んでいる人
持病を抱えており複数の薬を飲んでいる人も、薬の飲み合わせによっては副作用が起こりやすくなります。
眠気や吐き気、めまいといった比較的軽度の副作用から、場合によっては血圧が急激に上昇または下降したり、生活習慣は変わっていないのに太りやすくなるケースもあります。
副作用への正しい対応とは
副作用が現れた場合、どのように対処すれば良いのでしょうか。正しい対応方法と、副作用を予防するために覚えておきたいことをご紹介します。
副作用への対処法
一口に副作用といっても、軽度のものから重度のものまでさまざまな症状があります。
たとえば、急激な血圧の変化やショック症状などが見られる場合には、早急に医療機関を受診し医師の診察を受ける必要があります。
一方、眠気や一時的なめまい、吐き気など比較的軽度の症状が見られる場合には、安静にすることで症状が改善されるケースがほとんどです。
また、軽度な症状であったとしても、医師や薬剤師から説明のなかった症状が現れた場合には、薬による副作用ではなく何らかの疾患が関係している可能性もあるため、早急に医療機関を受診してください。
副作用を予防するために
冒頭でもご紹介した通り、副作用のない薬は存在せず、リスクをゼロにすることは不可能に近いでしょう。特に、初めて飲む薬に対して副作用を予防するのは難しいものです。
ただし、過去に薬によって副作用が現れた経験がある場合には、医師や薬剤師に対して薬の名称と症状を正確に伝えることで副作用のリスクを最小限に抑えられる可能性があります。
薬の副作用を抜く方法はある?
副作用は多くの人にとって辛いものであり、今すぐに何とかしてほしいと感じるのは当然のことです。
しかし、一度現れた副作用を即座に治すことは難しく、副作用そのものを抜く方法は基本的にないと考えたほうが良いでしょう。
副作用が強く現れた場合や、自分の体質には合わないと感じた場合には、その薬の服用を直ちにストップし、医師や薬剤師に相談することがベストな方法といえます。
薬の副作用が消えるまでどれくらい?
辛い副作用が現れると、「この状態があと何時間続くのか?」と不安になってしまうものです。
上記でも紹介した通り、副作用とは「主作用以外に現れる効果や症状」であり、薬の効果(主作用)が持続する間は副作用も同様に持続する可能性が高いです。
たとえば、1日3回服用する薬の場合、4〜6時間を目安に有効成分の血中濃度が低下していき6〜8時間程度で体外に排出されていきます。
そのため、1回の薬の服用で副作用が消えるまでには、少なくとも4〜6時間以上を要することになります。
【まとめ】薬の副作用を理解して安全な服用を
薬の副作用は個人の体質や複数の薬の飲み合わせ、病気の影響などさまざまな要因で起こります。
どのような薬にも主作用と副作用の両方があり、副作用のリスクがゼロの薬は存在しないといっても過言ではありません。
重要なのは副作用のリスクを正しく理解し、重篤な症状が出たり体質に合わないと感じた場合には服用をストップし、医師や薬剤師に相談することです。
また、過去に薬によって副作用が現れた経験がある場合には、医師や薬剤師に対して正確に情報を伝えることも心がけましょう。