薬の眠くなる成分とは?対処法や眠くならない薬の選び方を紹介
風邪薬や痛み止め、頭痛薬など、私たちの身の回りにはさまざまな薬がありますが、これらを服用したときに眠くなった経験はないでしょうか。
車の運転前や重要な仕事が控えているときなど、薬を飲むタイミングに配慮しなければならないこともあります。
本記事では、薬を飲むと眠気が起こる仕組みやどういった成分が影響しているのか、眠くならない薬の選び方などもあわせてご紹介します。
薬が眠気を引き起こす仕組み・理由
薬を飲むと眠気が引き起こされるのは、一言でいえば薬に含まれるさまざまな成分の副作用によるものです。
薬には痛みや炎症を緩和させる成分や咳を鎮める成分、精神的な安定をもたらす成分など、目的に応じてさまざまな成分が配合されています。
しかし、どのような薬であっても副作用が一切存在しないものはなく、何らかのデメリットや負の影響が生じることがあります。
眠気はさまざまな薬に含まれる成分がもたらす代表的な副作用であり、その人の体質にもよりますが服用してから30分程度で眠くなるケースが多いのです。
なお、一般的に薬に含まれる成分の配合量が多いほど高い効果が期待できますが、その反面副作用も強く現れる傾向があります。
薬の眠くなる成分とメカニズム
では、副作用として眠くなる成分にはどういったものがあるのでしょうか。
また、なぜその成分が眠気を引き起こすのか、簡単なメカニズムもご紹介します。
抗ヒスタミン剤
抗ヒスタミン剤とは抗アレルギー薬とよばれることも多く、主に花粉症の諸症状を緩和する薬に含まれています。
花粉症によって鼻水やくしゃみなどが止まらなくなるのは、ヒスタミンとよばれる神経伝達物質が影響しています。
それと同時に、ヒスタミンは脳の興奮や覚醒をもたらす物質でもあります。
そのため、抗ヒスタミン剤によってヒスタミンの働きを抑えると、脳にもたらす興奮・覚醒作用も低下し眠気を引き起こすのです。
鎮静作用のある成分
鎮静作用とは、神経の過剰な活動を抑制することで、抗うつ薬などに含まれるアリルイソプロピルアセチル尿素が代表的です。
イライラや不安、興奮といった状態を鎮めることでセロトニンとよばれる神経伝達物質が分泌されます。
セロトニンは精神的な安定をもたらしますが、その一方で精神的にリラックスし眠気を感じるようになるのです。
鎮咳作用のある成分
咳は本来、体内に侵入した異物を排出するために行われる生体反応のひとつです。
風邪やインフルエンザによって咳がひどい場合には咳を鎮める薬が処方されますが、この中にはジヒドロコデインリン酸などの成分が入っています。
これは、脳に直接作用し咳を止める司令を送っています。
脳に直接作用する分、鎮咳作用の成分は副作用が現れやすく強い眠気を感じることが多いのです。
薬による眠気の対処法
薬による眠気の感じ方は人によって差がありますが、少しでも眠気を抑えたい場合に備えて有効な対処法をいくつかご紹介しましょう。
眠気が避けられない場合の対処法
眠気は薬の副反応であり、完全に防ぐことはできません。そのため、どうしても眠気が強く現れる場合には仮眠や昼寝をするのがベストです。
長時間の睡眠が難しい場合でも、10分、15分程度の仮眠をとるだけでも眠気が解消されスッキリするはずです。
また、近年では眠くならない成分が配合された薬も販売されているため、ほかの薬に切り替えてみるのもおすすめです。
眠気を引き起こす薬を使用する際の注意点
眠気を引き起こすおそれのある薬には、パッケージや説明書の中に「運転前に服用しない」旨の注意点が記載されています。
安全のためにも成分をしっかりと確認したうえで、服用後指定の時間が経過するまでは車の運転を控えましょう。
また、副作用を軽減するために、薬を複数回に分けて服用したいと考える方もいます。
しかし、1回あたりの用量は決められており、それよりも少ない量を服用すると十分な効果が期待できないため、用量はしっかりと守って服用しましょう。
眠くならない薬の選び方
薬の副作用によって眠気に悩まされてる方は、以下のポイントを心がけて薬を選んでみましょう。
成分を見極める
上記でも紹介したように、薬に含まれる成分の副作用によって眠気は引き起こされます。
そこで、薬を選ぶ際には成分表を確認し、眠気を引き起こす心配のないものを選びましょう。
「抗ヒスタミン薬」と記載のある薬はもちろんですが、以下の成分が含まれた薬は要注意です。
- マレイン酸クロルフェニラミン
- 塩酸ジフェンヒドラミン
- フマル酸クレマスチン
- マレイン酸カルビノキサミン
- ブロムワレリル尿素
- アリルイソプロピルアセチル尿素
また、最近では副作用に配慮し「眠くならない成分配合」といった表記のある薬も増えているため、それを基準に選ぶのも良いでしょう。
症状に合わせた薬を選ぶ
風邪薬を選ぶ際に注意すべきなのは、風邪の諸症状に対応した「総合かぜ薬」ではなく、解熱鎮痛剤や鼻炎薬、頭痛薬など、症状に合わせた薬を選ぶことです。
総合かぜ薬の多くはさまざまな症状に対応するため、複数の成分が配合されており、それらの副作用として眠気が現れることがあります。
熱が出た時には解熱鎮痛剤、鼻水や鼻詰まりが現れたときには鼻炎薬など、症状に応じて薬を選ぶことで副作用のリスクを軽減できるでしょう。
眠くなる成分の入っていない風邪薬
眠くならない風邪薬にはどういった製品があるのでしょうか。ドラッグストアなどでも購入できる市販の風邪薬をいくつかご紹介します。
1.ロキソプロフェン錠「クニヒロ」
発熱があり熱を下げたい、あるいは頭痛を緩和したいときには、眠くなる成分が入っていないロキソプロフェン錠「クニヒロ」がおすすめです。
【価格】
713円(税込)
【内容量】
12錠
【用法・用量】
症状があらわれた時、次の1回量をなるべく空腹時をさけて水またはお湯でかまずに服用してください。
成人(15歳以上):1回1錠 1日2回まで
※ただし、再度症状があらわれた場合には3回目を服用できる。服用間隔は4時間以上おくこと。
15歳未満の小児:服用しないこと
2.アセトアミノフェン製剤「タイレノールA」
こちらも眠くなる成分が無配合の解熱鎮痛剤です。発熱や頭痛の緩和におすすめです。
【価格】
889円(税込)
【内容量】
10錠
【用法・用量】
次の量を服用してください。ただし、かぜによる悪寒・発熱時には、なるべく空腹時をさけて服用してください。
成人(15歳以上):1回1錠 1日2回まで
※服用間隔は4時間以上おいてください。
15歳未満:服用しないでください
3.ペラックT錠
のどの痛みを緩和するトラネキサム酸を配合した風邪薬です。
【価格】
1,320円(税込)
【内容量】
18錠
【用法・用量】
次の量を水又はお湯で服用して下さい。
成人(15歳以上):1回2錠 1日3回(朝昼晩)
7歳以上15歳未満:1回1錠 1日3回(朝昼晩)
7歳未満:服用しないで下さい
【まとめ】眠くなる成分を理解して薬を選ぼう
どのような薬であっても副作用は存在し、薬の効果が高いほど副作用も強く現れます。
薬を服用したときに現れる眠気は代表的な副作用のひとつであり、これを防ぐためには成分を見極めながら薬を選ぶ必要があります。
最近では「眠くならない成分配合」といった表記の薬も増えているため、それを基準に選んでみるのもひとつの手といえます。