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薬をお茶で飲むのはダメ?お茶が薬の効果に与える影響とは

薬は水やぬるま湯と一緒に飲むのが一般的であり、薬のパッケージや説明書にもその旨が記載されています。

しかし、タイミングや場所によっては水がなく、お茶と一緒に飲むというケースも珍しくありません。

このような場合、薬の効果に影響を与える心配はないのでしょうか。お茶以外の飲み物も含めて、考えられる影響を詳しく解説します。

薬をお茶で飲むのはダメ?

薬をお茶で飲むことは推奨されていません

その理由として、薬の多くは水と一緒に飲むことを想定して開発されているためです。

水以外の飲み物と一緒に薬を飲んでしまうと、飲み物に含まれるさまざまな成分が薬の効果を低下させたり、副作用をもたらすケースがあります

お茶も例外ではなく、タンニンやカフェインなどさまざまな成分が作用し、本来得られるはずの薬の効果が半減するリスクが高いのです。

薬を飲む際に水が推奨される理由

薬のパッケージや説明書を見ると「コップ1杯の水またはぬるま湯で飲む」旨が記載されていますが、それはなぜなのでしょうか。

薬は私たちの体内に入った後、溶けて吸収されることで初めて効果が発揮されます。

水以外の飲み物にはさまざまな成分が配合されており、それらが作用して薬の吸収を阻害することがあるためです。

また、少量の水では薬が体内に入った後に溶けにくく、吸収のスピードも遅くなってしまいます。

最悪の場合、消化器官に薬がくっついて炎症や潰瘍などの疾患を引き起こすリスクもあることから、十分な量の水が必要なのです。

さらに、カプセル剤や錠剤をそのまま飲んでしまうと、器官に詰まり肺炎などを引き起こすリスクもあります

そのため、安全性の観点からも水と一緒に飲むことが求められています。

また、お湯ではなくあえて「ぬるま湯」という文言が記載されていることもよくあります。

それは熱いお湯の場合、体内に吸収される前に熱によって薬が分解され、十分な効果が見込めなくなるためです。

お茶が薬の効果に与える影響

お茶の中には、ポリフェノールの一種であるタンニン(カテキン)のほか、カフェインやテアニン、ビタミン類、ミネラル類が豊富に含まれています。

かつては、タンニンが薬に含まれる成分の吸収を阻害し、薬の効果を半減させてしまうという説がありました。

しかし、近年の研究ではほとんど影響がないことが証明されました。ただし、これは一般家庭で飲まれる普通の緑茶に限った話です。

極端に高い濃度でタンニンが配合されているお茶の場合、薬の効果に影響を及ぼすことがあります。

現在では、タンニンよりもカフェインによる影響が懸念されています

お茶と薬を一緒に飲むことで効果が半減したり、通常よりも強くなってしまう危険が指摘されているのです。

もともとカフェインには覚醒作用や興奮作用があります。

そのため、抗うつ薬と一緒に飲むことでイライラが増長されたり、神経過敏によって寝付けなくなったりすることも考えられます。

さらに、風邪薬にもカフェインは含まれているため、お茶と一緒に飲むことでカフェインの過剰摂取となり、健康にも悪影響を及ぼすリスクがあります。

薬を服用する際に避けるべきお茶以外の飲み物について

では、お茶以外の飲み物で薬を飲んだ場合、どういった影響が考えられるのでしょうか。特に注意しておきたい飲み物をいくつかご紹介します。

大前提として押さえておきたいのは、必ずしも全ての飲み物が危険というわけではありません。

薬に含まれる成分との飲み合わせによっては副作用が生じたり、薬の吸収が阻害されることがあるということです。

牛乳

牛乳にはカルシウムが豊富に含まれているので、一部の抗生物質や抗菌剤と一緒に服用すると薬の成分がカルシウムと結びつきます。

そのため、体内での吸収効率が低下することがあります

また、カプセル剤や表面にコーティングが施された薬の場合、牛乳と一緒に飲むことで早い段階でコーティングが分解され、効果が半減するリスクがあります。

このような理由から、牛乳と薬は数時間程度タイミングをずらして飲むのが理想的です。

コーヒー

コーヒーも緑茶と同様、カフェインが含まれているため薬と一緒に飲むのは避けたほうが良いでしょう。

覚醒作用や興奮作用によって、飲む薬の種類によってはイライラが増長されたり、神経過敏によって寝付けなくなったりすることも考えられます。

また、風邪薬と一緒に飲むことでカフェインの過剰摂取につながる可能性もあるでしょう。

炭酸飲料

炭酸が含まれる水は酸性の度合いが強く、特にアルカリ性の薬と一緒に飲むことで中和され、効果が半減することがあります

また、炭酸飲料の代表格ともいえるコーラには、緑茶と同様にタンニンやカフェインが含まれているため薬と一緒に飲むことは推奨されません。

グレープフルーツジュース

フルーツジュースのなかでも、特にグレープフルーツジュースは薬との飲み合わせによって重篤な症状を引き起こすリスクがあります

グレープフルーツの中には特殊な酵素が配合されており、これが薬の代謝を妨げることがあるのです。

特に注意が必要なのは降圧剤で、薬が体内に長く留まることで血圧が急激に下がったり、強い副作用が現れたりするリスクがあります。

薬を安全に飲む方法とは

これまで解説した内容を踏まえ、あらためて薬の安全な飲み方をご紹介しましょう。

基本は水で飲む

薬はお茶や牛乳、ジュースなどではなく、コップ1杯(200ml程度)の水またはぬるま湯と一緒に飲みましょう。

水の量が少ないと体内で薬が分解されず消化器官に付着したままになることから、必ず十分な量の水分と一緒に飲むことが大切です。

用法・用量を厳守する

市販薬の場合はパッケージや説明書に記載された用法・用量を、処方薬の場合は医師や薬剤師の指示に従って薬を飲みましょう。

薬を大量に飲み過ぎると副作用が強く現れたり、本来よりも強い作用をもたらすことがあります

反対に、薬の量が少なすぎると十分な効果が得られず、症状が改善しないばかりか悪化するリスクもあります。

【まとめ】薬をお茶で飲む場合はタンニンやカフェインとの相性をチェック

薬は基本的に水かぬるま湯と一緒に飲むのが理想的とされています。

一般家庭で飲まれるお茶の場合、薬の成分によっては影響が少ない場合もありますが、タンニンやカフェインとの相性で効果が半減する可能性もあります。

そのため、やむを得ずお茶で飲まなければならない場合には、薬に含まれる成分とタンニン・カフェインとの相性をチェックしておくことが大切です。

自分自身で判断が難しい場合には、薬剤師に相談してみるのもひとつの手といえるでしょう。

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