学長挨拶

薬学の未来を担う専門家を目指して ~自己の確立とともに~

皆さんはなぜ薬学に興味を持ったのでしょうか。「病気の人を薬で助けたい」、「新薬や化粧品を開発したい」、あるいは「身近な人や自分自身が薬に助けられたので詳しく学びたい」など、その理由は様々でしょう。これらはすべて将来における自分の姿を想像し、その実現を目指す、きっかけと言えます。人はこの世に生まれてから、どのようにして自己を確立し、自己実現を果たしていくのか、自問自答しながら成長していくものと考えます。

教育の役割は、知識・技術の教授を通じてこの成長に関わり、一人ひとりがより輝く存在となれるよう支援することです。横浜薬科大学では、建学の精神として〈個性の伸展による人生練磨〉を掲げ、自己の個性すなわち専門性の修得を通してアイデンティティを確立させ、その個性を伸ばすため生涯に亘って研鑚出来る人材の育成を目指しております。

この一人ひとりの個性を大切にするという本学の教育理念では、自分自身を大切にするだけではなく、他人の個性も尊重し重んじる心の成長も目指しております。これは人の苦しみに寄り添い慈しむ「惻隠の心」の醸成にも通じ、病気の人たちの苦しみを和らげるために、薬学の専門家としての立場で役立ちたいとの志の源になるものと考えます。

従来の医療では、病名が同じ患者さんには同じ治療を行うのが基本的な考え方でしたが、薬の効果や副作用などには個人差があり、効果的な治療となっていない場合もありました。しかし、ヒトの遺伝子情報等に関する研究が進むにつれ、同じ病気であってもそれぞれの患者さんに適した治療を目指す「個の医療」が行われようとしております。また、近年目覚ましい発展を遂げているAIなどを活用した医療DXも、個々の患者さんのデータから導かれた体質を考慮した治療法の提供における強力なツールとなってきております。このような医療体制の変革の中において、先に述べた本学の建学の精神・教育理念は、まさにこれからの薬学を支える人材にとって欠くことのできない資質の会得を目指したものになっているといえます。

薬学に対する思いを横浜薬科大学に託していただき、皆さんの個性と秘められている可能性を存分に伸ばしていただき、輝く未来の医療薬学・薬科学の担い手として世界に羽ばたいてください。


学長 都築 明寿香

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