お知らせ

サラヤ株式会社 代島裕世先生によるオンライン講義について

 薬科学科1年で行う「社会薬学1」の授業(吉田 林講師)では、先進国と開発途上国の医療格差に焦点をあて、前半ではグローバル化とその問題点、後半ではその問題点を是正しようと試みる人々の働きを学びながら、自らに何ができるかを考えていきます。

 87日には後者の代表例として、サラヤ株式会社取締役・コミュニケーション本部長の代島裕世先生が、サラヤの社会課題解決型ビジネスについてオンラインでお話くださいました。

 サラヤの転換点は「ヤシノミ洗剤」が原料・パーム油の生産のために『環境破壊するエコ洗剤』との批判を受けたことでした。マレーシア・ボルネオ島のアブラヤシ・プランテーション現場に赴いて、熱帯雨林の減少と野生生物の窮状を確認し、以後、問題と真摯に向き合っていきます。2005年に日本国際企業として初めて"RSPO"(Roundtable on Sustainable Palm Oil:持続可能なパーム油のための円卓会議)に加盟し、2010年にはRSPO認証パーム油使用商品の販売をスタート。さらに「ボルネオ保全トラスト」を設立し、「ヤシノミ洗剤」の売上の1%を寄付してその活動を支えます。

 本業の手洗い事業では、2010年にユニセフと協働してアフリカ・ウガンダで「100万人の手洗いプロジェクト」を開始。医療現場ではアルコール手指消剤の使用を奨励し、衛生環境の劇的改善に寄与しました。興味深いのは国民酒「ウガンダ・ワラジ」にヒントを得て、現地の蒸留酒製造技術をアルコール消毒剤の現地生産に繋げたことです。そこから原料の現地調達、雇用創出、医療従事者教育など、持続可能なかたちで、社会全体に開発効果を及ぼすソーシャルビジネスを作り上げました。サラヤはこの事業を東アフリカ全体に広げることを目指しています。

 参加学生の感想では、「植物由来の油や石鹸は体や環境に良いと思っていたが、(製造)過程で環境破壊が行われるのは衝撃的でした。」「日本の手洗いや感染予防が当たり前だと思っていたので想像以上の状況で驚いた。」といった、自身の"当たり前"が覆された驚きを表すものが多く認められました。

また、「現地に行くことで新しい発想が生まれることがあることに気づいた。」「現地に行って社会問題について考えることをしてみたい。」など、課題の現地確認を事業に繋げてきたサラヤの行動力にならいたいとする意見も見られました。

サラヤの経営姿勢への共感意見も多く、「これからの時代、ボランティアだけでは支援が不十分で経営側からの活動も求められている。」「SDGsを取り入れた企業が増えることで生態系が少しでも維持される良い方向に行くのではないか。」など、サステナブルな経営の必要性も感じ取っていました。

 

 代島先生の授業は、聞き手の医療・薬学的興味を満足させるだけではなく、学生が将来就職先を考える際にも参考になる内容で、大変有用なものでした。

2020.10.02
在学生

入試情報 ADMISSION