世界の医療情勢に関するオンライン国際講演について
横浜薬科大学では、薬科学科1年生を対象とする薬学英語1の講義(吉田 林講師・亀卦川真美助教)の一部をオンライン国際講演(全3回)として希望者に配信しました。 3回の講演には講義を受ける学生以外の参加者を併せ約140人が参加し、インターネットを通じ世界の医療情勢の理解に努めました。
第1回目(2020年10月28日)は赤十字国際委員会(International Committee of the Red Cross (ICRC))本部人事部の佐藤ちひろ氏と、薬剤師であるDidier Lembeye氏がICRCの活動についてそれぞれ英語と日本語でお話しくださいました。
佐藤氏からは赤十字の「戦場の負傷者は敵味方なく救護する」という理念、7つの基本原則(人道・校正・中立・独立・奉仕・単一・世界性)、国際人道法の守護者としての行動、救援、捕虜訪問、家族の再統合などの活動についてお話いただきました。
Lembeye氏からはICRCロジスティックセンターでのストック・コントロール、物資供給、医薬品ポリシー等、薬剤師としての役割について説明いただきました。
赤十字国際委員会の活動
第2回目(11月10日)は日本のアフリカ人材育成プログラム、ABEイニシアティブ(African Business Education Initiative for Youth)を利用し、東京医科歯科大学大学院に留学中の助産師、Dorothy Laina Palani氏と、マラウイ国薬剤師のLifton Palani氏が姉弟でご登壇され、日本とアフリカを繋いだ本学初の講義が開催されました。
Dorothy氏がマラウイのティーンエイジャーの早すぎる妊娠・出産と、それを教育の力で変えていく試みについて話され、Lifton氏は母国マラウイでの薬剤師の役割についてお話くださいました。医療人材、医薬品、知識が慢性的に不足する厳しい医療環境の中で、自国の医療水準を向上させるべく努力するお二人の姿にじかに触れ、その背景を知ることができました。
マラウイ国の医療
第3回目(11月24日)はWHO Briefing Centreの Dorine Van der Wal氏と邦人技官の井澤有里絵氏、陣内由佳氏から世界保健機構(WHO)の活動について説明いただきました。
Van der Wal氏からは人々の健康を守る専門国際機関としてのWHO組織、保健事業の調整・援助、災害・感染症など緊急事態の対応、特に感染症に関してはWHO最大の成果の一つとされる天然痘の撲滅や、この度のコロナ・パンデミック対策として打ち出されたACTアクセラレーターによる診断、治療、ワクチンの開発と公平配布の推進などについてお話いただきました。
井澤氏からは地理情報システムを用いたコレラやエボラ出血熱の疫学分析の紹介、陣内氏からはUNボランティアや外務省による若手職員の国際機関派遣制度であるJPO(Junior Professional Officer)制度などについてご説明いただきました。
3回の講演に参加した学生からは「日本との医療環境の差異について考えさせられた」「命がけで患者を救う姿にとても感動した」「国際社会に貢献することの大切さを理解した」「世界の医療に対して興味を持った」「もっと英語を学びたい」といった感想が寄せられました。多忙な勤務の合間に講演いただいた講師の皆様、そして企画調整にあたられた皆様のご尽力に深く感謝します。